オトナのイクラ醤油漬けレシピ

北海道グルメといえば、イクラの醤油漬けですが、道産子でも作り方を継承している人はそうあまり多くありません。

ぼくは祖母から継承しましたが、ほかの親族は誰も作り方を知らないため、道民でもイクラを作れない人が意外と多いものなのです。

祖母は大正生まれのため、かれこれ100年ぐらいの歴史があるレシピですが、当家のイクラ醤油漬けの作り方をご紹介したいと思います。

ただ、祖母が90歳を超えて認知症がある程度進行した状態で継承したため、祖母自身も作り方があやふやな点もあり、ぼくが子供の頃に食べていた味とはけっこう違っています。おそらく、原因は日本酒ではないかと思うのですが、どの銘柄だったのかが不明なため、まだ本物の味を再現できていない状況です。

作り方自体については、ネット上で検索すれば、たくさん出てきますが、おおむね違いはありません。

まずは近所のスーパーで生の筋子を買ってきます。

10月ではまだ粒が小さめですが、11月頃になれば、わりと大きめの粒の筋子が出回るので、10月中旬あたりがおすすめの旬な季節です。

スーパーで2,000円も出せば、このぐらいのイクラを購入できます。

11月の状態だと、粒がわりと大きめです。

これが完成すると、最終的にはこのぐらいの量になります。

2,000円ぐらいだと、通常の大盛イクラ丼で2杯分ぐらいになります。札幌の市場などの食堂だと、イクラ丼2杯で3,500円~4,000円ぐらいじゃないかなと思いますので、スーパーで買って自分で作った方が安上がりでたくさん食べることができます。

実際の調理方法についてですが、以下のとおりです。

イクラ醤油漬けの作り方

①筋子を両手で持ち、粒をつぶさないよう、両手の親指を使ってイクラの腹の方から広げていきます。中指なども使って、裏からも薄い膜を持ち上げる感覚で広げていきます。

②ある程度広げましたら、ボールに人肌よりも熱めのお湯を入れ、そこに海水ぐらいの濃度になるように塩を入れておきます。温度については、お風呂の温度辺りが良いと思いますが、かなり高めの70度あたりの温度でも大丈夫です。筋が白くなる程度が取りやすいです。

③お湯の入ったボールに、広げたイクラを入れて素早くほぐしていきます。イクラは白くなりますが、タレに漬ければ元に戻るので問題ありません。長めで丸目の箸を使い、筋から切り離していくようにしましょう。この段階が一番時間がかかるため、うまみが出ていかないように塩を入れた状態で作業することをおすすめします。

④大きなメインの筋を取り除きましたら、イクラをザルに移してお湯は捨てます。

⑤再度、ボールにお湯を入れ、粒をつぶさないようにかき回し、細かい筋や浮いてきた薄皮などを除去します。これを3~4回繰り返しますが、いちいち塩を入れるのは面倒なため、ぼくはこの作業は塩にを使わず、素早くすぐに終了させています。塩を入れないと浸透圧の関係でうまみが逃げていきますので、時間をかけずにパパっとやることをおすすめします。そもそもイクラではなく、筋子の場合は薄皮ごと調理して食べるため、完全に筋を除去する必要はなく、3回~4回ぐらいで問題ありません。

⑥終了しましたら、ザルに移して5分ほど水を切ります。

⑦これを容器に移し、醤油とみりん、日本酒を入れて漬けます。醤油2~3に対し、みりん1、日本酒1ぐらいの割合かと思いますが、好みで調整するとよいでしょう。ポイントは、調味料を直接注がず、タレを別に作って味見をして完成させた上で、少しづつ注いでいくことです。味が決まらず、何だかんだと調味料を継ぎ足しているうちにイクラがタレでタポタポになってしまい、多すぎたタレを捨てることになるとうまみまで捨ててしまうことになります。後からタレを足すのは問題ありませんが、多すぎてタレを捨てるとうま味まで捨ててしまうことになるため、注意しましょう。

⑧一晩寝かせて完成です。タレはイクラの肩に完全に漬かるぐらいの量でも、翌朝にはちょうど良いぐらいになっているはずです。

タレを沸騰させてみりんと日本酒のアルコールを飛ばす人も多いですが、個人的にはあまりおすすめしません。ある程度のアルコール分が入っていないと、気の抜けた味になり、オトナのイクラ醤油漬けには仕上がらないと感じています。

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僕はイクラは使用する日本酒の銘柄で味が違ってくると考えており、イクラに飲ませるアルコール分は必要不可欠と考えています。

また、料理酒でも高級な日本酒でもなく、庶民が日常的に飲むような「純米酒」のような普通のお酒の方がおいしいイクラに仕上がります。本みりんも米が原料のため、一種の純米酒に近いものがありますが、米由来のまろやかなタイプを選択することをおすすめします。

一方、吟醸酒のような高級なお酒の場合、味はクリアになる分、米本来のうま味などはあまり感じられません。

使用する日本酒によって、イクラ醤油漬けの味が全く別物になってしまうため、かなり重要な要素です。もちろん好みにもよりますが、アルコールを飛ばして作るイクラ醤油漬けはイマイチで物足りない味に仕上がるため、普通酒をそのまま使用することをおすすめします。

ちなみに、イクラ丼として盛り付ける際、ご飯の上にカットした海苔を敷き、大葉をのせたのち、いくらを敷き詰めるとさらにおいしく仕上がります。そのほか、刻みネギや大葉ジュリアン、おろし大根、わざびなどもトッピングするとよいでしょう。

おいしい食事